経営逆手塾~2話

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《第二話》

 お得意様を大切にするな


 老舗の料亭では一見(いちげん)の客を断る、という話を聞くことがあります。店の側が客を選ぶことで店の品格を高め、いいお得意様の利用をうながすための経営策だったのでしょう。しかしもちろん、そういう高級な店のサービスは私たち庶民とはあまり縁のない世界の話。ところが周囲を見回すと、普通の商店でもそれと似たように、お得意様を特別扱いしている店は結構見かけるものです。
「たかが一分」の失敗
 ある商店に入った時のことです。レジではなじみ客らしい人が、店主と世間話に夢中でした。私はその人の後ろで一分待たされた後、精算を済ませました。店主にしてみれば、なじみ客との会話は大切なものでしょう。それに後の客を待たせたといっても、たった一分にすぎません。しかしそれ以後、私は二度とその店には行きません。

 これはお得意様を大切にするあまり、初めての客への対応を誤った例です。店主にとってはたかが一分でも、初めての客は「くだらないおしゃべりで一分も待たされた」と感じてしまいます。その店主はこれからもなじみ客との雑談を楽しめる代わり、たった一分のために、初めての客がもう一度来店する機会を自分でつぶしてしまったといえます。この場合は10秒ですむ私の精算を先に終えてから、ゆっくりと雑談の続きをすればよかったのです。
米不足の教訓
 大凶作に襲われた平成5年、米不足の緊急措置として外国の米が輸入されました。店頭には価格の安いタイ米などの外国産米が並びました。しかし消費者が選んだのは、安い外国の米ではなく国産米。そして中でも消費者が先を争って買ったのは、ちょっぴり高くてもおいしいアキタコマチ、コシヒカリなどの銘柄米でした。

 普段スーパーや生協で米を買っていた人たちも、品薄の銘柄米を求めて近所のお米屋さんを訪ね歩きました。そしてその時、次のような対応をした店が結構あったようです。



「お困りなのは分かるのですが、普段御利用いただいているお客様の分をまず優先しなければなりません。お得意様を大切にするのが店の信用の基本なので、御理解ください」

 これは一見、正しい判断と思えます。しかし平成6年はうって変わって大豊作。前年訪れた店で米を売ってもらえなかった消費者は、「二度とあんな店には行かない」と思ったことでしょう。もしも「お困りでしょうから、少しでよろしければお分けいたしますよ」と応対していたなら、中には将来お得意様になってくれた人がいたかもしれません。
等しいサービスが安心感を生む
 もちろん、いつも利用してくれるお得意様を大切にする心は大事です。しかし、お得意様だけを大切にするのは間違い。お得意様にも初めての客にも、いつでも安定したサービスができてこそ店への信頼が生まれるというものです。初めての客にもお得意様と等しい気持ちで接して、あなたの店のファンを増やしていってください。

「商業界」より



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このページは、西都商工会議所が2008年12月17日 11:02に書いたブログ記事です。

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