経営逆手塾~3話

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《第三話》

 もっといいサービス
接客


 商店に入った時、「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか」と店員がすぐとんでくる店があります。これは店の側から見れば、自然な考え方でしょう。客はほしいものがあるから店に来てくれたはずであり、その商品を素早く目の前に出してあげることが最高のサービスと考えるからです。
          
 でも反対に、消費者の側から見ればどうでしょうか。客が店に入るのは欲しい商品を買いたいだけでなく、「何かおもしろいものはないかな」と、店内を見て歩く楽しみも味わいたいはずです。素早い接客はいいサービスのように見えて、実は「余計なお世話」と感じられているケースが意外と多いのです。
          
 だから小売店は「いらっしゃいませ」は言っても、「何をお探しでしょうか」は言わないことがサービスの基本。消費者が大型店やコンビニに足が向くのは、何でも買える便利さ以上に、「何をお探しでしょうか」と言われない安心感があるからです。
中古車センター見て歩き
 車を買い替えようと思って、中古車センターを数軒回った時のことです。車は高い買い物なので、何軒も見て歩き、できるだけいいものを買いたいと思うのが消費者の心理。でも中古車センターとしては、せっかく来た客を逃がしたくないので、待ってましたとばかりに近づいて来ます。こちらの予算や希望車種を聞き出し、熱心に要望に応えようとします。
          
 でもこういう接客をすればするほど、消費者は早めに逃げ出したくなるもので、「ええ、ちょっと...」と口をにごしながら、次の中古車センターに向かうことになります。
          
 ところが二軒目、三軒目、四軒目も、待ってましたとばかりに店員がとんでくる店でした。五軒目を訪れる頃はいいかげんうんざりしていたのですが、その店はそれまでの四軒とはまったく違う応対をしました。女性の従業員が近づいて私にコーヒーを手渡し、「どうぞゆっくり御覧ください」と言うとスタスタ去って行ったのでした。消費者はこういう気配りが実にうれしいものです。私はこのサービスが気に入ったので、「よし、絶対この店で買おう」という気になりました。
          
 しかし念の為もう一軒だけ、と行った六軒目の店は、それまで訪れた店がどこもやっていなかったサービスをしていたのでした。
ユーザーの気持ちで
 最後に訪れた店だけがやっていたサービスとは、『車のロックをすべてはずす』という実に簡単なことでした。普通の中古車センターはたいていドアロックしているので、窓ガラス越しに車内を見なければなりません。
 もちろん店に言えばロックを解除してくれますが、客は自由にドアを開けて運転席に座り、ハンドルの感触や座りごこちを味わいたいものです。店の側からすれば車内が汚れるという気持ちがあるのでしょうが、それは掃除をこまめにすれば済むことではありませんか。こうしてこの店で買った車が、現在も我が家の足として活躍しています。
          
 サービスは店側の都合で考えるのではなく、消費者に満足を提供する心で発想しましょう。普通のサービスがいいサービスに、そしてその積み重ねがもっといいサービスに成長していくことでしょう。

「商業界」より

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このページは、西都商工会議所が2009年1月 8日 15:36に書いたブログ記事です。

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